【スギ薬局のキャリアは?】本部を経験したベテラン薬剤師に聞いた仕事内容・年収のリアル
初めて就職や転職を考えるとき、求人票や企業の公式情報だけではリアルな働き方や会社内のキャリアまでわからず不安を感じる薬剤師も少なくありません。

スギ薬局って現場だけじゃなくて本部やマネジメントまで進むと、働き方や年収ってどう変わるんだろう?
そこで本記事では、スギ薬局で店舗から本部(エリアマネージャー・プロジェクトリーダーなど)まで経験した、薬剤師歴18年のベテランの方に、仕事内容・残業・年収・評価制度・キャリアまで率直にインタビューしました。
スギ薬局への就職、転職を考えている薬剤師はぜひ最後までお読みください。
※本記事はあくまで1名の個人的な体験談であり、スギ薬局全体を評価・断定するものではありません。勤務時期、勤務場所によっても異なるため一例としてお読みください。
※当サイトがクラウドワークスで独自調査した匿名インタビューの結果となります。
スギ薬局の他の薬剤師へのインタビューは以下をご覧ください。

基本情報
今回お話をお聞きした薬剤師の方の基本情報は以下の通りです。
・勤務コース:全国
・薬剤師歴:18年
・年代:40代前半
・勤務時期:〜2022年
まずは仕事内容についてみていきましょう。
仕事内容について
スギ薬局での仕事内容を教えてください

店舗では、管理薬剤師として調剤や服薬指導を行うほか、施設在宅・個人在宅・在宅営業、無菌調剤、病院薬剤師との連携などを担当していました。
その後は本部に異動し、エリアマネージャーのほか、制度改定への対応、業務設計・マニュアルの刷新、新規事業開発など、店舗運営の枠を超えた業務にも携わりました。
調剤・OTCのバランスはどうでしたか?

時期によります。初めの方は調剤とOTCが50:50でしたが、以後は調剤95:OTC5程度でした。
店舗業態が薬局の1業態から、店舗販売業と分割された2業態へと変わったことに伴い、OTC業務への関与が難しくなったことが背景です。

店舗業態が変わったとのことなので、今は調剤業務メインが多いのかもしれませんね。
1日の仕事の流れを教えてください

午前中は外来患者さんへの調剤対応を行います。昼過ぎからは在宅訪問に向けた調剤や、関係する多職種への連絡・準備をします。
その後、夕方から夜間にかけて施設または患家へ訪問し、戻った後は報告書を提出して業務終了です。
日によっては家族カンファレンスに参加し、在宅ケアについて協議することもありました。
勤務していた店舗での処方箋枚数と人員体制を教えてください

異動経験があるため、それぞれ
①月700枚/薬剤師1名・事務1名
②月400枚/薬剤師1名
③月1500枚/薬剤師3名・事務1名
④月2000枚/薬剤師5名・事務2名でした。
働きやすさについて
忙しさについて、実際にはどう感じましたか?

客観的にみると一日を通して大変忙しいです。休憩をほとんど取れず、移動中が食事のできる時間でした。
ただ、実際の感じ方としては、調剤のみの淡々とした業務ではなく多岐にわたる内容だったため、ストレスは少ないと感じていました。

エリアマネージャーや本部職ならではの忙しさかもしれませんね。
残業はどのくらいありましたか?

3年目くらいまでは月60〜80時間、以降は月15〜20時間以下でした。
本部勤務になってからは、携わるプロジェクトや時期によりますが、通常時はほぼ0で、多忙な時期は80時間を超えることもありました。

残業時間についても年々厳しくなっているため、改善されていったのかもしれません。
希望休や有休の取りやすさはどうでしたか?

希望休は1名あたり2日という制限があり、かなり取りにくかったです。
特に同社の友人と休みを合わせるのは困難を極めました。
有休も取れる環境になく、申請しても理由を問われ却下されることが入社数年はありました。以後は改善したため、取得しやすいと周囲は話していました。

有休に関しても世の中の風潮として取りやすくなっているので、その影響で改善されているのかもしれませんね。
応援勤務や異動の頻度はどうでしたか?

配属地域や本人の希望キャリアによります。薬剤師人口の少ないエリアでは、応援は管理薬剤師以外ほぼ全員が担います。
異動については、人員が潤沢なエリアからの異動が頻繁に行われていました。
私自身の異動頻度は少ないほうで、店舗では3回、以後は本部での部署異動のみでした。
職場の人間関係や雰囲気はどうでしたか?

人間関係は非常に良好です。
ビジネスライクというよりは、苦楽を共にした仲間や家族に近い感覚で、これは経営層にも言えます。
ただし、展開店舗数の少ないエリアでは自店舗以外の従業員との交流が希薄で、良くも悪くもフラットな雰囲気でした。
そのためか、声高な人が場の空気を支配してしまうという弊害もありました。
年収・待遇・評価制度について
年収推移について教えてください

入社時は残業込みで600万円台、3年目以降は700万円台後半から800万円台中盤で推移しました。
管理薬剤師などの役職は年収に特に影響せず、純粋に労働時間に依存していました。
本部に行ってからは社内グレード依存となるため、一時は700万円台前半まで減少しましたが、最終的には800万円台後半でした。
キャリア・役職ごとの手当・年収の推移について教えてください

すべて勤務していた時期のものです。
管理薬剤師手当は月2万円
エリアマネージャーや役職手当は特にありませんでした。
つまり職位では手当がつかず、等級(社内グレード)に依存します。
グレードは10段階あり、上位の7段階目で1,000万円超となり、それ以下は700〜900万円台と壁があります。
現場に留まる社員はグレードが上がりにくいため、薬剤師でも500〜600万円台が現状のレンジだと考えられます。
給与や待遇への満足度を教えてください

普通です。(5段階中3の評価)
給与・賞与・昇給について感じたことを教えてください

給与については、同業他社と比較して高水準なほうなので、特に不満はありません。
賞与・昇給については、査定で最高評価でも額としては数万円・数千円の差しかなく、あまり意味を感じませんでした。
これがキャリアにつながるものでもなく、昇進についてはどの上司のもとで働けるかに依存すると感じています。
評価制度についてどう感じましたか?

実績軸とプロセス軸の2軸評価です。予算に対して、実績とプロセスをプレゼンすることで評価が決まります。
重要なのは、結果からさかのぼるプレゼンではなく、事前に計画してきた内容を述べることで評価が大きく跳ね上がる点です。
薬局業態自体が受動的なビジネスなので、結果論ではなくプロセスが最も重視されます。
子育て・ライフイベントとの両立について
出産や子育てをしていくうえで、働きやすい職場だと思いますか?

少なくとも2012年ごろまでは難しかったです。
そのため、独身女性が非常に多い印象でした。
現在は、プラチナくるみんの認定も取得しており、モデルケースとして育休取得を率先して促す働きかけがありました。育休期間も子どもが高校3年になるまでと長く、制度としては非常に働きやすいです。
一方で、その空いた穴の業務のしわ寄せを受けた側の不満は大きいと感じています。

産前産後休暇・育児休暇・男性育休は取りやすい仕組みでしたか?

産前産後休暇・育児休暇・男性育休についても、前の質問と同様です。
モデルケースとなるよう各地で取得を促していたため、徐々にそうした風土が醸成されていきました。女性のみならず、男性の育休も目立ち始めていました。
研修・目標について
新入社員研修、キャリア採用研修の充実度を教えてください

新入社員研修については、薬剤師というよりは社会人としてのビジネススキルが中心でした。
以後、薬学的な研修はOJTメインで現場に委ねられます。この点が調剤専業の大手とは異なるため、視点によりますが、医療人としての充実度は低めだと思います。
キャリア採用については、研修はOJTばかりで、教育担当もその場にいる人材の誰か、という粗い決め方だったため、教育体系がありませんでした。
そのため充実度は極めて低く、業界未経験の企業出身の人材は相当苦労していました。
ノルマや課せられた目標はありましたか?

ノルマはありません。
ただし当然ながら予算はあり、その目標達成責任は原則マネージャーが負うことになっています。管理薬剤師には数値責任があると説明されますが、形骸化しています。
目標として設定されるのは処方箋枚数などの大きな数字はもちろん、現場努力の各種加算については、旧・地域支援体制加算や基準調剤加算の実績要件を満たすことが指標となっていました。
OTCについても予算に依存し、店舗の売上規模からの単純試算のため、達成すべき目標として認識していた現場は少なかったです。
スギ薬局の良かった点・大変だった点について
スギ薬局で働いて良かった点を教えてください

薬局薬剤師としてできるおおよそすべての経験を得られたことです。
管理薬剤師、OTC、在宅医療、地域連携、エリアマネージャーなど、幅広く経験できました。
また、会社として非常にチャレンジングな経営思想があるため、オンライン医療や介護・ヘルスケアなど、薬剤師の枠を超えた事業に関わることもできました。
加えて、人脈を広げられた点も挙げられます。このように、調剤専業や中小では経験できない仕事に取り組める可能性がある点が最大の利点です。
スギ薬局で働いて大変だった点を教えてください

薬剤師として医療特化のキャリア形成ができない点、薬学以外にも幅広くビジネススキルを習得しなければならない点が大変でした。
まず接客スキルに始まり、財務諸表の読み方や売り場づくりといった小売業の基礎から学び、本部職ではマネジメントスキルや人材育成スキルという管理職としての学びます。
その後は各業務・事業に合わせた業界理解や交渉術など、会社でキャリアを積むほどに薬剤師から離れていかざるを得ない点が、大変なところとして挙げられます。


入社前・転職前に知っておきたかったことはありますか?

現場以外のキャリアについて知っておきたかったです。薬剤師として入社する以上、前提が医療職であるため、専門性に特化したキャリアはイメージがつきやすく、仮に社内にベンチマークする人がいなくても、外を見れば解消できます。
一方で、会社の中でキャリアを積んでいくにあたり、どのような業務に携われるのかなど、中期経営計画やビジョンより一段掘り下げた具体的な事業展開や構想がわかっていたら、歩む道も変わったのではないかと振り返ります。
スギ薬局の就職先、転職先としての評価について
スギ薬局は薬剤師の転職先としておすすめできますか?

とてもおすすめできます。(5段階中5の評価)
その理由を教えてください

大手による寡占の時代が到来しつつあります。また、AIの進化により、薬剤師としての専門性の価値も薄れてきています。
そうしたなかで、薬剤師を主軸としたスキルを養えることに加え、自身の努力次第で多くのことにチャレンジできる環境です。
専門性の深耕という面でも、学会参加や論文発表などに取り組んでおり、薬局としてエビデンスを蓄積するには大手がベストだと考えます。
よって、調剤だけを淡々と続けて薬剤師人生を過ごしたい、という人でなければ、同業他社と比較してもかなり強く推奨できます。
スギ薬局に向いている薬剤師はどんな人だと思いますか?

キャリアを積むという視点で述べます。
まず、薬剤師として専門性を突き詰めたい人にとっては、単に知識を深めて患者さんの健康に寄与するという献身的な考えだけでなく、科学的・実態的にエビデンスを蓄積し、薬局業界の発展を視野に入れている人が向いています。
次に、ビジネスパーソンとしてキャリアを積みたい人にとっては、チャレンジングで柔軟性を持っている人が向いています。
ただし、社内の風土から、自己主張を声高に公言しないタイプが向いています。淡々と与えられた仕事をこなしつつ、水面下で根回しをして静かに物事を進められる人物です。
スギ薬局に向いていない薬剤師はどんな人だと思いますか?

前の質問ではキャリア形成を主眼に述べましたが、こちらでは現場薬剤師として述べます。
接客業が苦手な方、シングルタスクしかできない方、自己学習ができず他人から教えを乞うのが当たり前になっている方、他人の幸せを憎む方、残業ができる体力のない方、愚痴の多い方。
このように基本的に他責の薬剤師は、ドラッグストアでの勤務は向いていないと思います。店舗が多いとはいえ、上記は最低条件なので、適した場を提供するのも難しいと考えます。
最後に、スギ薬局への転職を考えている薬剤師に伝えたいことを教えてください

薬剤師の価値は、制度改革とテクノロジーの波のなかで問い直され続けています。
その変化は、これからも加速するでしょう。
そんな時代に、「自分が薬剤師として何をしたいか」を本気で考えている方に、ぜひこの会社を知ってほしいと思います。この会社は調剤にとどまらず、未病対策から在宅医療、終末期ケアまでを見据えたトータルヘルスケアを早くから掲げてきた企業です。
薬局業務を対物から対人へシフトし、薬剤師一人ひとりが患者さんとより深く向き合える環境を整え続けています。ドラッグストアはどこも同じではありません。
自己申告制度や社内公募制度など、自分のやりたいことを言語化し、実現していくための仕組みがあります。描いたビジョンを、ここで形にしてください。
ここまでスギ薬局で店舗から本部まで経験した薬剤師の方にインタビューを行ってきました。

ここまで参考になる経験と、熱いメッセージをいただきました。
スギ薬局の経営理念はこちらで解説しています。ぜひご覧ください。
実際に転職する時は、経験やスキルによって応募者ごとに提示される条件が異なります。
また、エリアによって忙しさや人員体制に差がある可能性があります。
応募前に配属候補エリアの異動の頻度、1人薬剤師の有無、残業時間、勤務コースごとの働き方を確認しておくことが大切です。
自分で確認しにくい情報は、薬剤師専門の転職エージェント経由で聞いてみるのも良いでしょう。

まとめ:スギ薬局への転職は「会社の数字」と「現場の声」の両方で判断しよう
本記事ではスギ薬局に実際に店舗、本部両方で勤務していた薬剤師の方に、リアルな職場環境についてインタビューをしてきました。
もちろん、働いていた時期や場所、上長などにより異なることもあります。
自分自身の働くエリアの雰囲気や最新の状況について転職エージェント経由で聞くことや、実際に店舗に行ってみることも良いかもしれません。
お薬屋の金融ゼミでは、会社の公開情報と従業員のリアルな声の両方から企業を分析しています。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。
※本記事はあくまで1名の個人的な体験談であり、スギ薬局全体を評価・断定するものではありません。

