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時価総額加重平均とは?株価指数の仕組みを解説【投資初心者が読むべき用語集】

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株式投資やインデックスファンドについて調べていると、「時価総額加重平均」という言葉に出会うことが多いのではないでしょうか。

S&P500など、有名な株価指数はこの仕組みで作られています。

時価総額加重平均とか投資の話だとよく聞くけどよくわからないのよね

薬局や病院では全く聞くことのない言葉だと思います。

しかし、将来の資産を増やすために、投資をする上では基本となる単語です。

薬剤師であり会計の資格である簿記2級を持っている私が投資初心者やお金について学びたい薬剤師にむけて、「時価総額加重平均」とは何か、具体的な例を用いながら丁寧に解説します

この記事を読めば「時価総額加重平均」についてわかり、S&P500、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスなどの指数がどのように銘柄選定されているか理解できます

ぜひ最後までお読みください。

時価総額加重平均とは株価指数を算出するルールの一つ

時価総額加重平均とは株価指数を算出するルールの一つで、他に株価平均型などがあります。

株価指数ってなんだっけ?

株価指数とは、複数の企業の株価の変動をまとめて表した指標です。株式市場全体が上がっているのか下がっているのかを一つの数値で表すものです。

たとえば、S&P500、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス、TOPIXなどですね。

こうした指数は、どういうルールで算出するかによって大きく意味合いが変わります。そのルールの一つが「時価総額加重平均」です。

時価総額加重平均とは時価総額を加重平均したもの

時価総額加重平均は時価総額を加重平均したものです。

全くよくわからないけど、どういうこと?

そうですよね。では時価総額と加重平均に分解して考えてみましょう。

時価総額とは企業の市場価値とも言える数値

まず「時価総額」の意味からおさえましょう。

時価総額は

時価総額=株価×発行済株式数

で求められます

時価総額とは企業が発行しているすべての株式の価値の合計です。要するに、「企業の市場価値」とも言える数字です。

例えば:

  • A社:株価500円 × 株式数1億株 = 時価総額500億円
  • B社:株価1,000円 × 株式数2億株 = 時価総額2,000億円

A社よりB社の方が時価総額が大きく、市場での存在感も強いと考えられます。

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ちなみに日本で一番時価総額が大きい会社はトヨタで、2025年8月時点約42.3兆円です。

加重平均とは重要度を加えた平均のこと

加重平均とは、重要度(重み)を加えた平均のことです。

え?どういうこと?

普通の平均はすべて同じ重みで考えますが、加重平均では「大事なものをより大きくカウントする」イメージです。

たとえば、英語の成績が以下のような配点だったとします。

  • テスト①:80点(配点30%)
  • テスト②:70点(配点70%

普通の平均では「(80+70)÷2=75点」になりますが、

加重平均では「80×0.3+70×0.7=73点」となります。

このように、重みをつけた平均が「加重平均」です。

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なんか大学の共通テストと2次試験みたいですね。私の時代はセンター試験でしたが、、、

時価総額加重平均とは時価総額の大きい企業ほど、指数に与える影響が大きくなる仕組み

以上をふまえると、時価総額加重平均とは以下のようなものです

「時価総額の大きい企業ほど、指数に与える影響が大きくなる仕組み」

つまり、市場全体において影響力の大きな企業の動きが、株価指数に強く反映されるようになっているのです。

なんかわかったような、わかっていないような

例を挙げて計算してみましょう。

指数に含まれている企業を3社とした場合の時価総額加重平均の算出例

では、3社だけの株価指数を作ってみましょう。

仮に、以下の3社からなる株価指数を考えてみましょう。

会社名株価発行済株式数時価総額
A社100円1億株100億円
B社700円3億株2100億円
C社300円1億株300億円

この場合の合計時価総額は

合計時価総額:100 + 2100 + 300 = 2500億円

となり

この場合の株価指数は

(100×100+700×2100+300×300) ÷ 2500=4+588+36=628

となります。 

ではそれぞれの会社の指数への影響は同じなのでしょうか?

各社の指数への影響

各社の合計時価総額に対する構成比は

  • A社:100 ÷ 2500 = 4%
  • B社:2100 ÷ 2500 = 84%
  • C社:300 ÷ 2500 = 12%

となります。

たとえば、B社の株価が10%上がると、指数に対しても大きな影響を与えますが、A社が10%上がっても影響は小さいのです。

このように、企業の市場規模(時価総額)に応じて、指数の中での「重み」が決まるのが「時価総額加重平均」です。

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S&P500においてはNvidiaやAppleの株価変動の影響がS&P500の指数全体に影響を与えやすいということです。

なんで時価総額加重平均が使われるの?

では指数の計算に時価総額加重平均が使われる理由についてみていきましょう。

指数の計算に時価総額加重平均が使われる理由

理由①:実態に近い市場全体の動きを反映できる

時価総額の大きい企業は、それだけ多くの投資家に影響を与えています。

したがって、そのような企業の株価が動いたときに指数が大きく動くのは市場全体の動きとして自然と考えられるからです。

理由②:指数連動型の投資商品に適している

S&P500などに連動するETFや投資信託では、この構成比率に応じて銘柄を保有します。

時価総額加重型なら、売買コストも低く、再計算がシンプルで、運用しやすいのです。

え?なんで売買コストも低く、再計算がシンプルなの?

例えばS&P500においてAppleの株価が上昇した場合

Appleの株価が上昇 → 時価総額が上昇 → 自然とS&P500におけるAppleの構成比率が増加

となります。

よって売買の回数を減らせるのです。

理由③:時代に応じた構成変化が自動で起こる

成長して時価総額が大きくなった企業(NVIDIAやAppleなど)は、指数に占める割合も自然と増えます。一方で、業績が低迷すれば構成比は小さくなります。

つまり、「時価総額加重平均」は、構成比が自動的にアップデートされるという特徴があります。

じゃあ時価総額加重平均ならうまくいくのかしら?

もちろん時価総額加重平均にもメリットもあればデメリットもあります。

時価総額加重平均を使用し場合のメリットデメリットを見てきましょう。

時価総額加重平均のメリットとデメリット

時価総額加重平均のメリット

  • 成長企業が指数に反映されやすい
  • 市場全体の動きを自然に表現できる
  • 投資商品としての連動性が高い
  • 自動リバランス的な効果がある

時価総額加重平均のデメリット

  • 特定の大型株に偏りやすい
  • 小型株の影響が無視されやすい(将来有望な中小企業の影響力は限定的)
  • バブル時に特定の業種に偏るリスクがある

このようになっています。

けど他にはどのような計算方法があるの?

では他の算出方法である株価平均型について見ていきましょう。

株価平均型の特徴

日経平均株価のように、株価平均型を使用している指数もあります。

株価平均型は株価指数を構成する銘柄の株価をそのまま平均して計算する方式です。

株価指数=構成銘柄の株価の合計/除数(調整のため)

です。

特徴として

  • 株価が高い銘柄が大きな影響力を持つ
  • 発行株数は考慮されない

ことが挙げられます。

どういうこと?

では前述の例で見てみましょう。

指数に含まれている企業を3社とした場合の株価平均型の算出例

会社名株価発行済株式数時価総額
A社100円1億株100億円
B社700円3億株2100億円
C社300円1億株300億円

この場合の株価指数は

1100 ÷ 3 ≒366.7

となります。

各社の指数への影響

各社の合計時価総額に対する構成比は

  • A社:100 ÷ (100円+700円+300円)≒9.1%
  • B社:700 ÷ (100円+700円+300円)≒63.6%
  • C社:300 ÷ (100円+700円+300円)≒27.3%

となり、時価総額加重平均とは異なる結果となります。

さっきの株価指数と変わるのね

この場合はB社が株価も高くて発行株数も多かったので、B社の影響が時価総額加重平均も株価平均型も影響が強くなっています。

しかし、仮に10000円の株価で1万株しか発行していない場合には株価平均にはB社の影響が強く出ますが、時価総額加重平均には影響が少なくなります。

指数だけ比べてみましょう。

時価総額加重平均100×0.2494+10,000×0.0025+300×0.7481=24.94+25+224.43≒274.4

※0.2494=100億円/401億円、0.0025=1億円/401億円、0.7481=300億円/401億円

株価平均

(100+10,000+300) ÷ 3 ≒3466.7

となります。

全然指数の値が違うじゃないの

株価平均では発行済み株数を考慮しない他、株価が高い株の影響を強く受けます。

特に発行済み株数が少ない場合は時価総額加重平均との乖離が大きくなります。

そのため時価総額加重平均の方が、企業規模を正しく反映しているという評価が一般的です。

まとめ:時価総額加重平均を理解することは、インデックス投資の第一歩

時価総額加重平均は、株価指数の中でも非常に一般的かつ合理的な手法です。

特に、

です。

まとめると…

  • 時価総額=株価×発行済株式数
  • 時価総額が大きい企業ほど、株価指数に与える影響が大きい
  • 代表的な指数(S&P500TOPIXなど)は時価総額加重平均で構成されている
  • 成長企業に自然と比重が移るため、時代に即した構成になる
  • ETFやインデックスファンドと親和性が高い

です。

「なんとなくS&P500が良いって聞くから投資している」ではなく、なぜそれが合理的なのかを理解することで、投資に対する納得感と継続力が大きく変わります

投資初心者こそ、まずは「時価総額加重平均」の知識を知って、投資を通して資産を増やしていく一歩としましょう。

ABOUT ME
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薬剤師/ファイナンシャルプランナー/日商簿記2級/TOEIC 735
新卒で併設型のドラッグストアに就職。管理薬剤師、新店立ち上げを経てスタートアップの中小薬局に転職。薬剤師の他に日商簿記2級、ファイナンシャルプランナー3級、TOEIC LR 735点を取得しています。 一人でも多くの薬剤師にお金に不自由ない暮らしをしてもらえるようお金の知識について発信中です!
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