【薬局薬剤師必見】薬剤師が簿記3級を取るべき理由3選とおすすめ勉強法

薬剤師として日々調剤業務や服薬指導に励む中、「このままで良いのか」「将来の選択肢を広げたい」と感じることはないでしょうか?

薬局長になって業務に慣れてはいるけど、もっとできることはないかな?

調剤や、服薬指導にはもう慣れて在宅業務にも携われるようになってきたけど、なんか最近学びが少ないわね
実は簿記3級の資格取得が、そんな悩める薬剤師のキャリアに新たな可能性をもたらしてくれます。
私自身、薬剤師として働きながら日商簿記3級・2級を取得した経験がありますが、その知識は想像以上に仕事や生活に役立っています。
もちろん薬の勉強は大事です。
その上で簿記の知識は薬剤師として、社会人としての知識の幅を広げてくれます。
近年では2年に1度の調剤報酬改定や毎年の薬価改定の影響もあり、薬剤師にも会計の知識が求められつつあります 。
医療の専門知識に加えてビジネスの視点を持つ薬剤師は、どの職場からも重宝される存在です。
そこで本記事では、薬剤師が簿記3級を取るべき理由3選を、私の体験エピソードを交えながら解説します。また、忙しい薬剤師でも合格できるおすすめの勉強法3選も紹介します。
結論から言いますと
簿記を学ぶメリットは
・キャリアの幅が広がる
・現場の薬局運営に活きる
・現場の薬局運営に活きる
ことです。
また、学ぶ方法としておすすめは
・TAC通学・通信講座を利用する
・スタディングを利用する
・独学で学ぶ
となります。
ところで、簿記とはなにかご存知でしょうか?

簿記ってなに?よく社会人の取るべき資格で見かけるけど、よくわからないわ
そうですよね。特に薬学部の授業ではほとんど習わないと思います。
では簿記について説明していきます。
簿記(ぼき)とは
簿記とは、企業のお金の流れを記録・計算・整理する技術のことです。簡単に言えば、「お金の家計簿をプロの手法でつける方法」です。

実際にどう役立つの?
簿記を学ぶと会社のお金の流れや資産を読み解く力、基礎的な経営管理や分析力が身につきます。また、ビジネスの基本であるコスト感覚も身につきます。
そんな簿記の知識がどれくらいあるかを証明できるのが「簿記検定試験」です。

けど、薬剤師が知っておく必要あるのかしら?会計も調剤報酬で決まっているし
薬剤師だからこそ知っていた方が良い点があります。
ではそのメリットについてみていきましょう。
薬剤師が簿記を勉強するメリット
メリット1.キャリアの幅が広がる
簿記の知識は薬剤師のキャリアの選択肢を大きく増やします。
薬剤師資格、各種認定薬剤師資格だけでも十分価値がありますが、そこに会計の知識が加わればさらに貴重な人材になれます 。
たとえば、現在の職場で経営面に関わる業務であるエリア担当やブロック担当、財務に関わる部署だったりに挑戦したり、簿記の知識を深めていけば異業種へ転職する際の強みになったりします。
私自身、簿記の勉強を始める前は「薬剤師の専門知識だけで十分」と考えていました。
しかし簿記3級及び2級に合格し会計の基礎を理解したことで、職場の数字に強くなり、上司とのコミュニケーションも円滑になりました。

新しく立ち上げをした薬局の薬局長をしていた際には、来月の枚数がこれくらいになりそうで売り上げは~円くらい予想です。粗利がこれくらい出るはずなので人員はこれくらい必要ですと具体的に伝えていました。
多くの薬剤師が金銭の数字に強くないため、「数字に強い薬剤師」というだけで唯一無二の存在感を発揮できるのです。
さらに、簿記を通じて企業の財務諸表が読めるようになると、転職活動でも有利に働きます。

M&Aが盛んな薬局、ドラッグストア業界で、今の会社が10年後同じ会社である保証はありません。
薬剤師の活躍の場は薬局や病院だけでなく、製薬企業、食品・化粧品メーカーなど多岐にわたります。そのような企業に転職する際には、「薬学知識+経営感覚」を持つ人材は貴重で、企業側も費用対効果を意識できる人材だと評価してくれるでしょう 。
簿記を身につければ、「薬剤師=現場業務だけ」の殻を破り、キャリアアップやキャリアチェンジの道が広がるのです。
メリット2.現場の薬局運営に活きる
簿記を学べば、売上・利益の計算まで一通り理解できるため、ビジネスをする上での土台が身につきます。
簿記の勉強を通じて、損益計算書(ある期間でどれだけ儲けたか、あるいは損をしたかを表す)や貸借対照表(会社の財産の一覧表)について学ぶことで、薬局内の在庫管理の適正化にもつながります。

最近は出荷調整品が多いから在庫はいっぱい持っておくに越した事ないわよね。
患者さんのことだけ考えるとそれでも良いかもしれませんが、経費がかさむことで会社は利益を出せなくなると潰れてしまいます。
そこで、患者さんの信頼を損なわずに、経費を削減して利益を最大化するために簿記の考え方は役に立つのです。

私は「期限切れ医薬品のコスト」と「店舗間での薬のやり取りの郵送費」が気になったため、薬局内で備蓄用の発注や店舗間移動の薬の金額を~円と原則のルールを決めて経費を削減していました。
簿記の知識を持つことで、コストを考え分析し、無駄な仕入を減らすなど、数字にもとづいた効率的な経営が可能になります 。
簿記は、将来的な独立開業にも直結するスキルです。「いつか自分の薬局を持ちたい」と考える薬剤師にとって、会計知識は避けて通れません。
会計知識なしにいきなり起業するのは、暗闇の中を手探りで進むようなリスクがあります。
簿記で基礎を押さえておけば、資金繰りに困ったり赤字に気づかないまま事業を続けて失敗するリスクを減らせます。
簿記取得は、薬局を利益の安定して出せる薬局にするために現場で活きるスキルです。
メリット3.投資・節税、節約の知識に応用できる
薬剤師は専門職で高収入な反面、税金負担も大きくなりがちのため、資産を増やすには投資と節税が重要になってきます。
株式投資では、簿記の知識を用いることで企業の決算書等を正しく読み取る力が身につきます。
これにより、株式投資や不動産投資などの判断力が格段に上がり、「なんとなく評判が良さそうだから買う」という投資から卒業できます。
節税分野では、医療費控除やふるさと納税の「損得判断」ができるようになるほか、不動産や保険の分野でも簿記の知識が活きてきます。

この分野ではファイナンシャルプランナーの勉強もしておくと、より良いですね。
もちろん、家計簿をつけて支出入を管理もより正確にできるようになります。
簿記の知識は個人のお金の管理の面でも役に立ちます。
以上、薬剤師が簿記を取るべき3つの理由を見てきました。

簿記の知識が幅広く活きることはわかったけど、どんな試験なの?
では簿記検定試験はどのような試験なのかみていきましょう。
簿記の試験とは?
日本にはいくつか簿記の試験がありますが、中でも有名なのが
- 日商簿記(日本商工会議所主催)
- 全商簿記(商業高校向け)
- 全経簿記(全国経理教育協会主催)
です。多くの社会人や就職・転職に役立てたい人が目指すのは知名度もあり、評価されやすい「日商簿記」です。
今回はその「日商簿記」について解説していきます。
日商簿記で社会人が目指すべき試験の種類として1~3級があります。
(初級等もありますが、初学者でも3級からがおすすめのため省略しています)
1級:大企業の経理業務ができるレベルの知識、税理士試験の受験資格にもなる
2級:中小企業の経理業務ができるレベルの知識
3級:小規模商店・個人事業の経理業務ができるレベルの知識
の3種類です。
初めて簿記を学ぶ人におすすめなのは「簿記3級」になります。
2級と3級の試験はネット受験で、ほとんど毎日会場で受けられます(休止期間は別途あり)。

薬学部であった病院・薬局実習前のCBTみたいな形式ですね

でも、実際どうやって勉強すればいいんだろう?
社会人が仕事の傍ら資格勉強するには、効率的な学習法を選ぶことが合格への近道です。
ここからは、忙しい薬剤師にピッタリの簿記3級おすすめ勉強法3選をご紹介します。それぞれ特徴が異なるので、自分に合った方法を選んでみてください。
簿記3級のおすすめ勉強法3選
簿記3級は合格率40~50%程度と比較的取りやすい資格ですが、独学で何年も先延ばしにしてしまう人も多いのが実情です 。

私は恥ずかしながら3回目の試験で受かりました。
効率良く合格するには、自分に合った学習スタイルを選ぶことが大切です。
ここではTAC通学講座、スタディング(オンライン講座)、自力で独学という3つの勉強法を紹介します。
それぞれ費用やサポート体制が異なり一長一短がありますが、忙しい薬剤師でも継続しやすいよう工夫された講座ばかりです。
1. TAC通学・通信講座 – 手厚い指導と実績で確実に合格
まずは王道の資格学校に通う(Web講座もあり)方法です。

TACってなに?初めて聞くんだけど
「資格の学校TAC」は簿記講座でも定評があり、プロ講師の講座をうけられます。
TAC簿記講座は延べ51万人以上に利用されています。
初学者にも3級から2級までがパックになったコースもあり、続けて上位の級まで取得することも可能です。
通学できるコースは決まったスケジュールで教室に通うことで強制力が生まれ、サボり癖がある人でも継続しやすいでしょう。

私も資格の試験を受ける時には必ずTACの教材をチェックします。簿記の教材も何冊も買っていて、TACの教材はわかりやすくとても気に入って使っています。
メリット
- ベテラン講師のわかりやすい授業で基礎から体系的に学べる。
- 合格実績の十分にある資格学校で通学するコースも選べる。
- 初学者でも無理なく合格レベルに到達できるようカリキュラムが組まれており、実力テストや過去問演習も充実。
デメリット
- 受講料は高めで簿記3級講座だけで2~3万円程度はかかる。(3級合格本科生の通学コースだと28,000円、Web通信講座で18,000円(2025年6月))
- 通学する場合、シフト勤務の薬剤師にはスケジュール調整が大変。職場から遠い場合は移動時間も負担。
こんな人におすすめ
「独学だと続かないので強制力がほしい人」「多少お金がかかっても確実に合格したい人」にはTACの講座が向いています。
「プロに任せて着実に合格を狙う」という安心感を得たい方にもおすすめです。
TACでは3級から2級へのステップ講座も用意されており、継続受講割引が効く場合もあります。
まずはTACの説明会や資料請求で雰囲気を掴んでみると良いでしょう。
2. スタディング – 忙しい薬剤師にちょうど良いオンライン講座
次に紹介するスタディングは、近年人気急上昇中のオンライン資格講座です。
スマホやPCで好きな時間に学べるため、通勤電車の中や子育て中の薬剤師でもスキマ時間を活用して勉強できます。
スマホだけで完結することも忙しい薬剤師にはありがたいですよね。もちろんパソコンやタブレットでも使えます
受講料も非常に安価で、コスパ重視の方にピッタリの「ちょうど良い選択肢」です。

片道40分電車に乗っていれば1日で80分、20日間で約26時間有意義に時間を使えます。家では薬の勉強をメインですると決めて、電車の通勤時間を簿記に充てるという選択も良いかと思います。
メリット
- 低価格で簿記3級講座は3,850円という驚きの安さ。テキスト代込みで業界最安級。
- 自由度の高い学習: 動画講義や問題演習を自分のペースで進められる。通勤時間や休憩中など1日10分からでも勉強可能 。倍速再生やスマホでの問題演習機能など効率的な学習システムが整っている 。
- AIを使った「AI実力スコア機能」では、「あなたが今、試験を受けた場合に、何点取れるのか?」を、AIを使って予測できる。
- 「AI問題復習機能」では理解度に合わせて最適なタイミングで本日の復習問題を出題してくれるため、記憶の定着に役に立つ。

テキスト買うより安いかもしれないし、日々予測点数が上がっていくとモチベーション維持がしやすいかも
日々予測点数が上がっていくとモチベーション維持がしやすいかも
また、「AI問題復習機能」では理解度に合わせて最適なタイミングで本日の復習問題を出題してくれるため、記憶の定着に役に立つ。
デメリット
- 基本的に独学形式のため、講義視聴中に出た疑問は自分で調べる必要がある。(スタディングでは別料金で質問サービスもありますが回数制限あり)
- 好きなときに学べる反面、強制力がない分サボろうと思えばサボれてしまう。
- 動画視聴が中心のため、通信環境が必要。(動画のダウンロードは、iPhone、iPad、Android端末で、スタディングアプリのみ対応)
こんな人におすすめ
「仕事や育児で時間が不規則だけど資格を取りたい人」「費用を抑えつつ効率よく学びたい人」にはスタディングがベストです。
忙しい社会人でも“ながら勉強”で合格力をつけられるのがスタディング最大の強みです。
まずはスタディング公式サイトで無料の講座体験やガイダンス動画を視聴してみてください 。
3. 独学
自身で教科書を選び、スケジュール管理をできる方であれば独学で日商簿記3級に合格も可能です。
そこで重要となるのは参考書選びです。
私のおすすめは
「よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記3級 Ver.15.0」
をテキストとして
「よくわかる簿記シリーズ 合格トレーニング 日商簿記3級 Ver.15.0」
を問題集にすると良いでしょう。ミニサイズ版もありますが、どちらも内容は変わりないので好きなサイズの方で構いません。

なんでこの2冊なの?
この2冊は簿記3級の内容について骨太の内容となっていて、3級の学習のみではなく2級も視野に入れた、しっかりとした内容が学べるからです。
少し堅苦しく読みにくい場合には、カラーの図解でわかりやすい
「みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第13版」
「みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商3級 商業簿記 第13版」
でも良いと思います。
メリット
- テキストと問題集だけ購入であれば安い
- 自分のペースで進められる
デメリット
- 自分で学習計画を立て粛々と進める必要がある
- わからない点が出た時にどこにも聞けない
こんな人におすすめ:
なるべく安くしたい、長期間かかってもいいから自分のペースで進めたい方にはおすすめです。

私も独学で挑戦していましたが、結果として3回受けることになりました。1回3,300円✖️3と意外といい出費になったので、独学も勉強の仕方次第では安くないのかもしれません
まとめ:簿記で薬剤師の未来を切り拓こう
長文お読みいただきありがとうございます。
薬剤師が簿記3級を取るべき理由は
・キャリアの幅が広がる
・現場の薬局運営に活きる
・現場の薬局運営に活きる
薬剤師におすすめの簿記3級勉強法は
・TAC通学・通信講座を利用する
・スタディングを利用する
・独学で学ぶ
です。
それぞれの学び方の特徴を表にまとめると

となります。
私自身の経験から言えるのは、簿記3級取得は決して無駄にならない自己投資だということです。
簿記3級では薬剤師と全く違う、例えば経理などの職業で同じ年収を稼ぐことは難しいとはいえ、数字に強い薬剤師としての差別化の一歩にはぴったりです。
薬剤師として専門スキルを磨くことも大切であり一方、+αのビジネススキルを持つことで将来の選択肢や安心感が増します。
簿記3級は初心者でも挑戦しやすい入門資格なので、まずは一歩踏み出してみませんか?
幸い、今回ご紹介したように社会人に優しい学習サービスも充実しています。
多くの方が実際に行動するまで時間がかかってしまい「若さ」という武器を消費してしまいます。
思い立ったが吉日、ぜひ自分に合った方法で学習をスタートしてみてください。
簿記の知識を手にした薬剤師という新しいステージで、きっと今までにないやりがいやチャンスに出会えるはずです。
ここまで読んでくださった読者の方々ありがとうございます。
リンク先には公式サイトを掲載しておりますので、ご購入の際には利用いただけますと幸いです。
今後も皆様の役に立てるような情報を発信していきたいと思いますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。