「もう無理…」「仕事が辛い」薬剤師が仕事を辞めたいと感じたときの対処法と乗り越え方

薬局やドラッグストアで働く薬剤師の中には、「もう仕事を辞めたい…」と限界を感じて悩んでいる方も多いでしょう。
毎日頑張ってきたからこそ、心身ともに疲れきってしまうことがあります。
「自分はもうダメだ…」と一人で思いつめていませんか?大丈夫、あなたは決して一人ではありません。
この記事では、そんな「辞めたい」「仕事が辛い」と感じる薬剤師の方に、対処法と乗り越え方についてまとめていきます。
焦って判断する前に読んでみて、今後の道を選ぶヒントになれば嬉しいです。
なぜ仕事を辞めたいのか?
まずは、多くの薬剤師が「仕事を辞めたい…」と感じる代表的な理由を整理してみましょう。
当てはまるものがあれば、自分だけの悩みではないと少し安心できるかもしれません。
・職場の人間関係
同僚や上司との関係がうまくいかずストレスを感じるケースです。薬局や病院など閉鎖的な空間ではメンバーも固定されがちで、人間関係の悩みは尽きません。

お局さんがいて、小言を言われるし本当に疲れるのよね
同僚との軋轢や、上司からのパワハラ、指導のプレッシャーなど、職場環境と人間関係に疲弊して「出勤がしんどい」 と感じる薬剤師は少なからずいます。

以前、同僚でよくみんなで食事や遊びに行くくらい仲良かったのですが、同じ店舗になった所、ソリが合わずそれから口もきかなくなってしまった同僚がいます
狭い職場で相手の性格を変えることは難しく、我慢を続けるう ちに自身の身体に不調をきたすこともあります。
・仕事量が多い
調剤、監査、服薬指導、在庫管理、書類対応に加え、在宅訪問まで業務が年々増加し、常に忙しく休む暇もない職場も多いです。

最近は薬の出荷調整も多くて、その在庫の対応もしないといけないし業務量が多いんだよね
調剤併設のドラッグストアで開局時間の長い店舗は、夜遅くまで働いた次の日シフトや残業が続いて十分な休息が取れないこともあるでしょう。
「いつまでこの忙しさが続くのか…」と不安になるほどの労働は、心身の疲労を蓄積させ、限界を感じて辞めたいと思う大きな要因です。
・ノルマや休みの取れない職場
企業によっては、かかりつけ薬剤師の契約件数など営業的なノルマが課される場合があります。
例えば「月に○件 のかかりつけ薬剤師の同意取得」や「推奨品の売上目標」などに追われることもあるのです。
また、慢性的な人手不足でプライベートな用事や子供の学校の予定などで休日が取れなかったり、場合によっては休憩すら満足に取れない状況が続けば、「もう無理…」と感じるのも当然でしょう。
・給与や将来性への不安

処方箋の枚数は多くて、薬局長もやっているのに大学の友達より年収が50万も低いし、将来上がる見込みもないんだよね
忙しさや責任の重さの割に給与が見合わない、昇給が頭打ち、今のポジション、待遇に不満があったりするとモチベーションの低下に直結します。
数年働いて一通り業務に慣れた後、「この先キャリアアップできるのだろうか」「今のまま で成長していけるのか」とキャリア停滞への焦りを感じるケースもあります。
・薬局や病院の業務が向いていないと感じる
薬剤師の仕事は一つのミスが患者さんの命に関わるため、大きなプレッシャーが伴います。
ちょっとしたミスが命取りになるという緊張感の中で長く働くことが向いていない方や、調剤過誤を起こしてしまった経験で「次は失敗できない」という恐怖心から精神的に追い詰められてしまう人も少なくないです。
一方で、薬局や病院の業務にやりがいを感じられず、他の職場や異業種にチャレンジしたいという方も多くいます。
いずれの理由も、決して珍しいものではありません。
「もう辞めたい…」と思ってしまう自分を必要以上に責めないでください。
大切なのは、会社でも周りの視線でもなく自分自身の健康です。
その上で、これらの悩みが本当に「仕事を辞める」決断に値するものなのか、冷静に見極めることも大切です。
では、衝動的に退職して後悔しないために、辞める前に考えるべき ポイントを整理してみましょう。
辞めるべき?続けるべき?を冷静に考えるステップ
一時の感情だけで勢いで退職してしまうと、後から「やっぱり辞めるんじゃなかった…」と後悔する可能性もあります。
そうならないために、辞める前に一度立ち止まって以下のステップで現状を整理してみましょう。

私も前職で働いている時に辞めたいと思ったことは100回はあります。一方で、感情的に転職活動をするのではなく、自身の希望と現状を照らし合わせながら転職活動をすることで希望の条件に辿り着きました。
STEP1. 「なぜ辞めたいのか」理由を整理する
漠然と「辞めたい」という気持ちの裏には、具体的な不満や問題があるはずです。
それを明確化することから始めましょう。
業務量が多すぎる、 人間関係がギクシャクしている、休みが取りにくい、将来のキャリアに不安がある、給与が低いなど、自分が辞めたくなった理由を箇条書きで洗い出してみてください。
原因を言語化することで理由がはっきりし、次に取るべき行動も見えてきます。
STEP2. 辞める以外の解決策を考える
辞めたい理由が整理できたら、それは退職以外で解決できない問題なのか考えてみましょう。
例えば、人間関係の悩みであれば他店舗への異動願を出す、休憩が取れないなら勤務シフトの作成の見直しを交渉するなど、現職に留まったまま状況を改善する方法が考えられないか検討してみましょう。
上司に相談することで意外にスムーズに改善される可能性もあるので、できる範囲で職場に働きかけてみる価値はあります。
STEP3. 「辞めた後どうするか」を具体的に考える
それでも「やはり辞めたい!」と思うなら、退職後のプランを描いてから決断しましょう。次の転職先のあてはあるのか、経済的にしばらく無職でも生活に支障はないか、次の職場選びで何を重視すべきか、といった点を整理します 。
特に転職を考える場合、在職中に転職活動を開始してから退職するのが重要です。
退職してから転職すると、良い条件ではないのに職がないことの不安で決断してしまったり、焦りが生じることもあります。
なので、退職を伝える前に新しい職場を決めておくくらいの慎重さでちょうど良いです。

私も転職先が決まるまで、一度も社内の人に退職を考えていることを伝えませんでした。退職を伝えた時は現職の人は驚くかもしれませんが、人生はあなたの人生です。転職をする場合は戦略的に行いましょう。
このようなステップで一度立ち止まって状況を整理する時間を作ってください。
また、信頼できる人に相談することも重要です。
家族や友人などに相談することで、自分では気付かなかった解決策のヒントをもらえることがあります。
社内の人であると噂が広がる可能性があったり、相談相手の主観的な内容が入る可能性があるため、客観視してもらえるようできる限り社外の人にするとより良いでしょう。
あるいは薬剤師専門の転職エージェントに相談してみる手もあります。
薬剤師向けのエージェントの多くは「今すぐ転職しなくても相談OK」で、客観的なアドバイスをくれたり現状の悩みを整理する手助けをしてくれます。
第三者の視点でキャリア相談に乗ってもらうことで、自分では気づかなかった選択肢が見えてくるかもしれません。
以下におすすめのエージェントの記事を貼っておきます。良かったらご覧ください。


けど、私の悩みの度合いが辞めたほうがいいのかわからない
そうですよね。特に新卒で今の会社に入った場合には、比較対象がないのでわかりにくいかもしれませんので、一般的な辞めたほうがいいケースと続けて様子を見る価値のあるケースをまとめていきます。
「辞めた方がいい?」「踏みとどまる?」べきケース
まず、退職したほうがいいかわからないケースで、心身的に限界が来ている場合には一度休職を考えてみてください。
休職を選択することで、より深い長引く心身的ダメージを避けられたり、一度立ち止まって考える時間が取れます。

周りにも休職を選んだ方が多くいます。偏見は一切ありませんし、無理して仕事を続ける必要はないと思います。休職は「逃げ」ではなく回復するための「必要な手段」であるので無理はしないでください
その上で、具体的にどんな場合に「退職した方がいい」のか、逆に「もう少し続けてみる価値がある」のか、その判断基準について考えてみましょう。
代表的な例を挙げますので、自分の状況に照らし合わせてみてください。

では実際に「辞めたい」と思った時にどうすればいいのでしょうか?
この仕事「辞めたい」思ったときの対処法

辞めたいと思った時には辞めるか続けるかの2つしかないんじゃないかしら?
その選択肢だけではありません。
辞めるにしてもきちんと未来の準備をして辞めたほうが良いですし、続けるにしても選択肢を持って続けるほうが良いです。
ここでは心身の疲労の段階でとるべき行動が変わります。

心身疲労度高い場合
このステージの方は、「人間関係で疲れている」「仕事量が多い」「ノルマが厳しい」「休みが取れない」という方が多いでしょう。
まずは休暇をとりましょう。といっても忙しくて十分に休暇が取れない、責任ある立場だから休暇が取れないことがある職場だからこそ心身がすり減っている場合が多いです。

じゃあどうすればいいの?
心身ともに限界であれば思い切って休職してしばらく仕事から離れることも選択肢です。
無理をして働いていて、精神疾患を発症した場合にはより長く時間がかかってしまう人も少なくありません。
金銭面でも健康保険の傷病手当金などのサポートがあります。まずは心と体の回復を最優先に、自分自身を立て直す時間を取りましょう。
休職しても会社に戻ること自体が精神的に負担になる、会社のことを考えるだけで気持ちが落ち込むようであれば辞めることも一つの手段です。
辞めることを決めた場合には自身で伝えることが一番ですが、どうしても難しい場合には退職代行サービスを使うことも自身を守るために視野に入れてもいいかもしれません。

会社は世の中にたくさんありますが、自分自身は一人です。自身をすり減らして犠牲にしてまで無理をしないでください
心身疲労度が中程度の場合
このステージの方は、「仕事量は多いけどギリギリこなせる」「職場にどうしても合わない人がいる」「薬剤師に向いているのかわからない」という方が多いでしょう。
この場合、休みの日はしっかり休み、今すぐにではないにしろ職場環境の改善、もしくは転職を考えてみることもオススメします。
実際に転職する、しないに関わらず転職エージェントに登録し、転職後の相場を見ることで、他の会社に行った場合に自分がどれくらいの給料をもらえるのかわかります。
自分が他で今と同等もしくは高い給料をもらえるようであれば、今の会社に無理にいなくても良いという選択肢が見えるはずです。

でも転職エージェントに登録したら無理やり転職を勧められるんじゃないの?
無理に転職をすすめられるわけではありません。転職は最終的に自身の決断です。うまくエージェントを利用することも重要です。どのエージェントを選んで良いか迷っている方はこちらをご覧ください。
心身疲労度が低い場合
このステージの方は、「給与や待遇面で不安、不満がある」「今の仕事に飽きた」「新しくやりたいことがある」という方が多いでしょう。
やりたいことがある方や、今の仕事に飽きて違うことがしたいという方は、ぜひ挑戦してみてください。

私は新卒の時は大手のドラッグストアで安定はしている一方で副業禁止だったため、副業ができるスタートアップの薬局に転職しました。人生は一度きりです。やりたいことをやっていきましょう。
給与や待遇面に不満があったり、将来の伸びに不安がある方は色々なスキルを勉強しながら転職エージェントに登録し自身の市場価値を高めることが重要です。
給与は会社の利益から捻出されます。利益率の良い会社に変わるだけで同じ業務でも、もらえる給料が変わることは珍しくありません。

私は薬剤師免許の他、簿記やTOEIC、ファイナンシャルプランナーの資格を所有していますが、目的を持って取得した資格は面接時の評価も高くいただきました。

辞める、辞めないだけじゃなくて、どうやって続けるか、どうやって辞めるかが重要なのね
まとめ:あなたの人生にはいつでも選択肢がある
仕事をしているうちに「辞めたい…」と悩んでいる薬剤師へ、ここまで様々な観点からお話ししてきました。
仕事は人生の一部ではありますが、すべてではありません。
会社は一つではなく、無数に存在します。
思い詰めて視野が狭くなってしまうと自分を追い込んでしまいがちですが、あなたにはあなたの良いところがあり、活躍できる場所があります。
あなたが苦労してとった『薬剤師免許』という国家資格は人生におけるとても強いカードです。
そのカードをうまく使って、あなたが心から笑顔で働ける場所や生き方を見つけてみてください。それが今の職場でも、違う職場でも、違う職種でも良いと思います。
これからの可能性も無限に広がっています。あなたの人生には、いつでも新しい明日が用意されています。心から応援しています。
ここまで読んでくださった読者の方々ありがとうございます。
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