20~30代の薬剤師転職面接でよく聞かれる質問10選【回答例付き】

薬剤師として初めて転職活動を進める中で、「面接ではどんな質問をされるんだろう?」「うまく受け答えできるか不安…」と悩んでいませんか?
転職では新卒の時と求められている事項が全く異なります。
同じような面接だと思い準備を怠った結果、面接で失敗してしまう方も少なくありません。
しかし事前にしっかり面接対策をすれば誰でも選考通過率を上げることができます。
本記事では、実際に30代前半で転職活動をし100%内定をもらった現役薬剤師である私が、薬剤師の転職面接の基本的な流れと事前準備のコツを解説し、面接でよく聞かれる質問10選について20~30代向けの具体的な回答例、ポイントを紹介します。
この記事を読むことにより転職時の面接の重要点がわかり、面接を通過しやすくなるでしょう。
転職の経験に基づいたリアルな回答例やアドバイスを盛り込みましたので、ぜひ参考にして面接に臨んでください。
薬剤師の転職面接でよく聞かれる質問10選
結論として、薬剤師の転職面接でよく聞かれる質問は
- あなたの自己紹介(職歴)をお願いします。
- あなたはなぜ転職しようと思ったのでしょうか?
- あなたの弊社への志望動機を教えてください。
- あなたがこれまで経験してきた業務を教えてください。
- 業務で辛かったことと学んだことはなんですか?
- あなたの長所と短所を教えてください。
- これから弊社に入社した場合、どのようなキャリアを積んでいきたいですか?
- 希望する年収や勤務条件はありますか?
- 当社以外で選考を進めている会社はありますか?(志望順位を教えてください)
- 最後に何か質問はありますか?
です。

よくある質問だけど、なんでこの質問が聞かれるのかしら?
もちろん意図があって質問されているのです。
では、そもそも面接で重視されていることはなんでしょうか?
薬剤師の転職時の面接で重視されていること
まず面接を行う目的として企業側がより良い人材を採用したいという意図があります。
企業側として転職する人に求めることは、「より良い会社にするために貢献してくれるか」「より企業として利益を出せるようにできる人か」などです。
つまり面接とは、他人より自分を採用することが企業側にメリットになることを伝える、セールスの一つとも言えます。
転職者側もできるだけ高く自分の労働力を売りたいですよね
その上で薬剤師の転職時の面接で重視されていることは
- コミュニケーション能力
- 一般常識・マナー
- 仕事に対する意欲
- 業務遂行能力
です。

当たり前な気がするけど

そうですね。ただ当たり前を高レベルの水準でできることは大きな強みです。もしあなたが「当たり前のこと」を高レベルにできれば、それは企業側には強みとして見えるでしょう。

けど、どのようなところがポイントなの?
ではそれぞれのポイントを見ていきましょう
薬剤師の面接でコミュニケーション能力が重視される理由
ご存知の通り薬剤師の仕事は「薬の説明」だけでなく、「患者さんの状態を正しく聞き取る」ことが必要です。
患者層は高齢者が多く聞き取りづらいケースや、急いでいる患者さんにはその患者さんに合わせた服薬指導などが求められます。
さらに、医師・看護師・医療事務・他薬剤師など多職種との連携も欠かせないため、会話の明瞭さ・態度・聞き上手さが面接時には評価対象となるのです。

仕事はできるけど気難しくて患者さんからの評判があまり良くない薬局長や、患者さんの意図を汲み取れていない若手薬剤師もいるでしょう。あなたが患者さんから信頼されていたり、他職種との連携に自信があるのであれば大きな強みです。

面接時にはどんなところでコミュニケーション能力が見られているの?
面接で見られているコミュニケーション能力のポイント
- 話すスピードと声量(聞きやすいか)
- 相手の話を遮らずに最後まで聞く姿勢
- 簡潔で論理的な説明ができるか
- 表情やアイコンタクトが自然か
コミュニケーション能力で高い評価を得るための準備
・自分に自信を持った振る舞いができるように練習する
・PREP法(Point→Reason→Example→Point)やSTAR法(Situation→ Task→ Action→Result)を用いて話をする

私は自信を持って話しているように見えるために、面接時でも身振り手振りも使って話していました。薬局で患者さんとお話しするように自然な振る舞いで面接に臨むことも良いでしょう。
薬剤師の面接で一般常識・マナーが重視される理由
これは薬剤師の面接だけではなく、社会人として一般常識・マナーは重要です。
さらに薬局は地域密着型であることが多く、常識の欠如は患者や地域の医療機関の信頼を損ねるリスクになるため一般常識がある人を採用したいのは企業として自然でしょう。
面接で見られている一般常識・マナーのポイント
- 敬語や言葉遣いの正確さ
- 面接当日の服装・身だしなみ(基本的にはスーツ)
- 入室・退室の所作(ノックの回数、ドアの開閉、挨拶)
とは言っても敬語やノックの回数など完璧にできてなくても大丈夫です。
失礼がなければ良いので、敬語のミスなどに気を取られるくらいなら話の内容を重視した方が良いでしょう。
一般常識・マナーで高い評価を得るための準備
- 面接練習で「入室~着席~退出」まで通しで確認する
- 日常から正しい敬語を意識して使う
しかし、面接練習は一人では効率よくできません。
プロであるに転職エージェントを相手に面接練習をし、フィードバックをもらうことが面接対策で一番の近道です。

私は転職エージェントの方に何度か面接の練習をしていただきました。面接のコツを知っているか知らないかでは、面接官の評価が異なります。ぜひ転職エージェントをうまく活用してください。
薬剤師の面接で仕事に対する意欲が重視される理由
採用側する企業側は「長く働いてくれるか」「成長意欲があるか」を強く気にします。
現在能力として劣っていたとしても、成長意欲がある方とない方では将来的には成長意欲がある方が成長をし活躍してくれる可能性が高いです。
特に20~30代はキャリア形成の初期~中盤にあたるため、成長ポテンシャルが評価されやすいです。
面接で見られている仕事に対する意欲があるかのポイント
- 他ではなく「なぜこの職場なのか」の動機が明確か
- 将来像やキャリアプランがあるか
- 新しい業務(在宅・かかりつけ薬剤師制度など)への挑戦意欲
仕事の意欲で高い評価を得るための準備
・応募先の特徴(店舗立地や経営方針など)と自分のやりたいことをリンクさせて説明
・過去に学んだこと・改善した事例を交えて話す
薬剤師の面接で業務遂行能力が重視される理由
薬剤師は安全性と正確性が最優先です。
調剤、監査、服薬指導、薬歴、在庫管理、経過措置など幅広い業務を、期限内・正確にこなせるかが問われます。
特に中途採用では即戦力であることが強く求められます。
企業側も新卒の薬剤師より高い人件費を払うので、中途採用者は求められるものが多くなるのです。
面接で見られている業務遂行能力のポイント
・調剤・監査の経験(処方箋枚数・科目・レセコン入力・レセプト業務の有無)
・ミス防止のための工夫・処方箋枚数増加へ行っていたこと
業務遂行能力で高い評価を得るための準備
・薬局の問題点に対し介入し改善したエピソードを用意しておく
・繁忙期や他の薬剤師の教育時に意識している点をまとめておく

私の面接時には、「処方箋枚数の増加で患者さんの待ち時間は伸びてしまうが、利益と顧客満足度とのトレードオフの関係をどうして考えて改善してるか」を問われました。前職にはアプリやFAXがあったので、アプリのQRコード付きのお薬手帳サイズの紙を配りトレードオフにしない施策を行っていたと答えて評価をいただきました。

面接で重要な項目はわかったけど、初めての転職で流れがわからないんだけど
ではまず転職の面接の典型的な流れをおさえていきましょう。
薬剤師転職の面接全体の流れ
大まかな流れはこのようになってます。
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
面接時の自己紹介のポイント
入室後に軽い挨拶や雑談の後、「では自己紹介をお願いします」と求められます。
ここでは1分程度で名前や経歴の概要、志望動機のさわりを簡潔に述べましょう。
長くなりすぎないように注意しましょう。内容をまとめられていないように聞こえてしまいます。
面接官も時間が決められており、深掘りたい内容についてはのちの質問で聞かれるため、時間を使いすぎないようにしましょう。
企業の施設・業務内容の説明のポイント
面接官から、応募先の薬局・ドラッグストアや病院の業務内容の説明があります。
事前に見学等で聞いていれば軽い説明になることもありますが、求人票に書かれていない詳細な情報を教えてもらえることもあります。
相手の目を見てうなずくなど傾聴の姿勢を示しつつ、認識違いがないか確認する意識で聞きましょう。
転職面接時の質疑応答の回答のポイント
続いて面接官からの質問に答える時間です。ここが面接のメインパートになります。
定番質問として、「職歴・経験業務」「志望動機」「転職理由」「自己PR」があります。
これらは必ず答えられるようにしましょう。
質問の意図を正しく汲み取り、結論から簡潔に伝えることが大切です。PREP法を用いて回答するとより説得力が増します。

質問に答えること苦手なのよね。どうしても覚えていることを忘れてしまって

質疑応答の回答は一字一句覚える必要はありません。質問が少し異なることもありますし、覚えているものを答えると定型文のようになってしまうので、代表的な質問に対する核となる自分の考え方を用意しておく程度で良いでしょう。
求職者から面接官への質問(逆質問)のポイント
面接の最後に面接官から「何か〇〇さんから質問はございますか?」と聞かれます。
ここでの対応も面接官への印象が変わる点です。
誰しも自分が興味を持っている内容であれば自然と質問が増えるように、面接官は応募者がどれだけ企業に興味を持って、入社したいのかを測る機会でもあるからです。
「特にありません」は企業に対する興味が感じられないためNGです。
質疑応答で気になっていた内容や、準備してきた質問を積極的にし、自身の意欲や職場への関心をアピールしましょう。
以上が大まかな流れです。
当日のマナーとしては、5~10分前には到着する、清潔感のある服装で臨む(基本的にはスーツ)、入退出の挨拶を丁寧に行うなど基本的なポイントも忘れずに行いましょう。
面接の流れを把握できたら、次に事前準備を万全にします。

やっぱり質疑応答に自信がないんだよね

どんな質問が来るかは予習しておきたいです
では面接でよく聞かれる質問を10個あげていきたいと思います。
代表的な質問ばかりなので、一通り自分自身に当てはめて、回答を用意しておくと良いでしょう。
薬剤師の転職面接でよく聞かれる質問10選
前述の通りよく聞かれる質問は
- あなたの自己紹介(職歴)をお願いします。
- あなたはなぜ転職しようと思ったのでしょうか?
- あなたの弊社への志望動機を教えてください。
- あなたがこれまで経験してきた業務を教えてください。
- 業務で辛かったことと学んだことはなんですか?
- あなたの長所と短所を教えてください。
- これから弊社に入社した場合、どのようなキャリアを積んでいきたいですか?
- 希望する年収や勤務条件はありますか?
- 当社以外で選考を進めている会社はありますか?(志望順位を教えてください)
- 最後に何か質問はありますか?
です。
それぞれ回答例を見ていきましょう。
あなたの自己紹介(職歴)をお願いします。

あれ?また自己紹介をするの?
この質問ではより深く職歴や今までの経験を確認していく目的があります。
面接官は即戦力としてなり得るか、薬剤師としてのスキルや実務経験の内容を把握したいと思っています。
具体的な回答例(30代前半薬剤師、チェーン併設ドラッグストアから在宅特化の薬局への転職希望のケース)
「○○大学薬学部を卒業後、調剤薬局にて薬剤師として7年間勤務してきました。
外来の処方箋調剤や服薬指導に加え、在宅訪問も経験し患者さん一人ひとりと向き合って参りました。
その中でより在宅でより深い知識を身につけたいと感じ、現在は在宅特化の薬局への転職を志望しています。直近3年間は管理薬剤師も任されており、店舗スタッフの育成や在庫管理を通じてマネジメントの経験も積んでいます。」
「あなたの自己紹介(職歴)をお願いします。」に回答するときのポイント
経歴紹介はダラダラ話さず簡潔にすることが鉄則です。
上記のように時系列に沿って職務内容をまとめつつ、要所で身につけたスキルや強みを織り交ぜましょう。
最後に「今までの経験を活かして御社でも〇〇という点をはじめ、貢献したいと考えています」のように今後の抱負に軽く触れると、面接官も実際に働いている姿が想像できより評価につながります。

私は、「管理薬剤師として新規薬局の立ち上げや、新規個別指導を経験してまいりました。管理薬剤師としての在庫管理や薬歴管理、店舗運営はもちろん、新規個別指導を控える薬局のある御社で、新規個別指導に適した指導、薬歴記載を共有することで薬局運営に貢献できます。」という趣旨の内容を答えました。
面接官の評価ポイント
履歴書・職務経歴書に書かれた内容を自分の言葉で要約できているか、経験に基づくスキルや知識をきちんとアピールできているかを見ています。
また話し方から論理的に整理する力やコミュニケーション力も評価されています。
あなたはなぜ転職しようと思ったのでしょうか?

これは鉄板の質問よね!誰でも気になるわ
この質問は転職活動という手間のかかることをしてまで現在の職場を辞めようとしているのか、その動機の本質を探る質問ですね。
面接官としては応募者の価値観や不満ポイントを知ることで入社後すぐ辞めないか、転職理由から人柄に問題がないか、課題解決への姿勢を見極めようとしています。
具体的な回答例(20代後半薬剤師、調剤併設ドラッグストア勤務から在宅未経験で在宅特化薬局へ転職希望のケース)
「これまで外来中心の薬局業務に携わってきましたが、薬剤師として長く働く上で、在宅医療や多職種連携の経験は早い段階で積むべきだと考えるようになりました。
若いうちに幅広い現場を経験し、地域の患者さんを多角的にサポートできる薬剤師を目指したいと思っています。
しかし現職では外来業務がメインの薬局が多く、在宅に深く関わることが難しいのが現状です。
貴社での月に200件以上という在宅訪問やチーム医療への参画は、自分の将来像に直結すると感じ、今回応募いたしました。」
「あなたはなぜ転職しようと思ったのでしょうか?」に回答するときのポイント
例え実際は給料が低い、人間関係が悪いというネガティブな理由でも、ポジティブな理由に置き換えて伝えることが重要です。
「現職では〇〇をすることが難しいため、〇〇に挑戦したいので転職を考えています」など将来のビジョンを語りましょう。
また、現職で学んだこと、働いてきたことは薬剤師としての経験でかけがえのないであると現職に感謝しつつ、新しいステップのために転職が必要だと締めくくるとより高評価です。

私は
「現職では副業をすることが難しいため、副業に挑戦したいので転職を考えています。
もちろん本業の薬剤師業務は全力で取り組み御社の発展のために貢献いたします。
現職では管理薬剤師を任され、新規薬局の立ち上げも任せていただき多くの経験を積ませていただきました。一方で、より経営陣に近い中小の薬局で経営の数値をより意識し、業務改善していくことでキャリアアップをしたいと考えております。そのため先進的な御社に転職を希望させていただきます。」
と答えました。
面接官の評価ポイント
転職の理由がポジティブな理由かどうかがポイントです。
もちろん現職のネガティブなポイントがあるからこそ転職を考えている人が多いでしょう。
しかしネガティブな理由ばかりを話すと、入社しても不満に感じて辞めてしまうのではないかと面接官も不安になります。
面接官もキャリアアップや挑戦意欲などが感じられ、現職で得たものを認めつつ次のステップに進もうとしている人を採用したいのです。
あなたの弊社への志望動機を教えてください。

これも絶対に聞かれる質問ね!
求職者がなぜ当社を志望しているのかを質問することで、応募者の入職への熱意や会社への興味の程度を測っています。
薬局やドラッグストアなど数あるかなで、「なぜうちなのか?」を知りたいのです。
具体的な回答例(20代後半薬剤師、病院から調剤併設ドラッグストア希望のケース)
「これまで病院薬剤師として入院患者さんを中心に調剤や服薬指導を行ってきました。
一方で、地域の外来患者さんやセルフメディケーションに関する相談など、より幅広いニーズに応えられる薬剤師になるためには、調剤とOTC販売の両方を経験できる環境が必要だと感じました。
貴社は地域密着型の店舗運営を行うために地域での立地が多いと思います。患者さんを第一に考えることを理念として掲げており、調剤・OTCの両面で患者さんを支える体制が整っていると感じます。ここでなら病院で培った処方解析力や患者対応スキルを地域医療に活かせると考え、志望いたしました。」
「あなたの弊社への志望動機を教えてください。」に回答するときのポイント
志望動機は応募先企業の理念・方針、店舗展開、立地などを絡め、できるだけ具体的に述べましょう。
薬剤師業界の企業分析をし、応募先企業でなくてはいけない理由を3点ほどに絞り(在宅を特化の薬局、経営理念に共感している、地域立地の3つなど)具体的なエピソードを交えて回答しましょう。
3つである理由は競合他社でも3つの論点から同じ企業を見つけることは難しい点と、1つ1つの論点が薄くならないようにするためです。
「御社ではなくてはいけない」という気持ちを前面に押し出していきましょう。
面接官の評価ポイント
求職者の志望動機が自社とマッチしているかどうかが評価のポイントです。
「地域医療を学びたいから」「OTC医薬品を学びたいから」などという他社でもできることではなく、当社でなくてはいけない理由(経営理念や方針など)を答えられているかが評価の対象です。
あなたがこれまで経験してきた業務を教えてください。

この質問は新卒の時はない質問ね
この質問は即戦力であることを求められる中途薬剤師だからこその質問です。
在宅医療や管理薬剤師の経験など、自社で求められるスキル・経験を持っているかを評価しています。
一方で20代から30代前半ではキャリアの初期~中期にあたるため、今は経験がなくても、「やりたい」「挑戦したい」という意志を表明できれば十分に評価されるでしょう。
具体的な回答例(30代前半薬剤師、大手チェーン薬局から中小の調剤薬局への希望のケース)
「これまで大手チェーン薬局で、外来調剤・服薬指導に加え、在宅業務にも携わってきました。
特に直近3年間は管理薬剤師として、複数の店舗運営や新人薬剤師・事務スタッフの育成、在庫・薬歴管理、医薬品医療機器等法の遵守の徹底など、マネジメント業務を幅広く担当しました。
業務改善の一環として、調剤過誤防止マニュアルの見直しや在庫回転率向上策を導入し、業務効率と安全性の両立を実現しました。
この経験を活かし御社にてより安全で効率的な店舗運営に貢献し、会社の利益向上に寄与していきたいと存じます。」
「あなたがこれまで経験してきた業務を教えてください。」に回答するときのポイント
未経験であれば「今は未経験だが勉強中である」「経験してキャリアアップしたいからこそ入社を希望している」など熱意を伝えましょう。
一方で経験したことであれば「管理薬剤師として店舗運営を2店舗経験した」など具体的なエピソードを話し、さらに「その経験を御社でも活かしたい」という意気込みを伝えましょう。
もし明確に「管理薬剤師はやりたくない」などの希望があるのであれば、嘘をつくと入社後のミスマッチが起こりかねません。
その場合は正直に伝えつつ、「現時点では難しいが将来的には検討したい」など、やんわり前向きな表現に留めるのがおすすめです。
入社をすることが目的ではなく、より自身に合った会社への転職が目的であるので、選考通過にマイナスでも嘘は避けるべきです。
面接官の評価ポイント
面接官が見ているのは、数字や規模感を交えた具体性があるか、自分の役割や成果を盛り込めているかを見ています。
ただ「管理薬剤師をやりました」ではなく、「処方箋付きに3000枚規模の管理薬剤師として管理業務のほか新人教育に携わりました」と具体的に数値を盛り込んで話しているかどうかが評価のポイントとなります。
業務で辛かったことと学んだことはなんですか?

辛かったことを話すとなるとどうしてもネガティブになってしまうのだけど
この質問は単なる苦労話を求めているわけではなく、面接官が知りたいのは、あなたが困難な状況に直面したときにどのように考え、行動し、その結果何を学んだのかという“対応力”と“成長力”です。
具体的な回答例(20代後半/大手チェーン薬局勤務から調剤併設ドラッグストアへの転職希望のケース)
「大手チェーン薬局で勤務していた頃、繁忙期に外来処方箋対応と在宅訪問業務が同日に重なり、限られた時間で多くの患者さんへ正確かつ丁寧に対応しなければならない状況がありました。
特に新人スタッフも多く、業務がスムーズに進まない場面が続いたことは大きな負担でした。
その経験を通じて、単に自分の作業をこなすだけでなく、業務の優先順位を即座に判断し、スタッフ間で情報共有や役割分担を徹底すること、その仕組み作りの重要性を学びました。
現在では、突発的な業務や人員変動があっても落ち着いて対応できるようになり、このスキルは貴社のように調剤とOTC販売を両立する環境でも必ず活かせると考えています。」
「業務で辛かったことと学んだことはなんですか?」に回答するときのポイント
回答では状況説明→辛かった理由→行動→学びという流れで簡潔にまとめることが効果的です。
まず感情的な表現に偏らず、事実ベースで状況を説明します。
例えば「忙しくて大変でした」だけでなく、「月末に在宅訪問と外来処方が重なり、1日100枚以上の処方箋を対応する必要がありました」と具体的な背景を加えることで、面接官も状況をイメージしやすくなります。
辛かった原因は「人手不足だった」だけで終わらせず、「そこで私は業務の優先順位を見直し、スタッフ間で情報共有の方法を改善しました」といったように、自分がどう動いたのかを明確に示すことで、主体性や改善意識を伝えられます。
その経験から学んだこと、例えば「この経験を通じて業務の優先順位を判断する力が身につき、現在は急な業務にも落ち着いて対応できるようになりました」といったように成長した事実に繋げることが重要です。
面接官の評価ポイント
面接官はあなたが困難にどう向き合い、それを糧に成長できる人物かどうかを判断しています。
また、ネガティブなエピソードをどう表現するかも注意深く見ています。
他者や環境への批判ばかりを口にするのではなく、「その経験を経て何が改善できたのか」「自分の行動や考え方がどう変わったのか」を前向きに話せているかが評価のポイントです。
あなたの長所と短所を教えてください。
応募者の他の応募者と異なる強みを把握し、自社で活躍できそうかを見極めるための質問です。
薬剤師としての知識・技術面だけではなく、接客対応やチームワーク、向上心などより内面の本質的な長所を知りたいと面接官は考えています。
一方で、短所のない人はいません。自身の短所を認め改善していく意思があるかも重要な論点です。

私、あんまり長所を上げることが得意じゃないのよね。人をまとめることも苦手だし

あなたには長所があります。しかし、自身で長所短所をまとめることを苦手な方もいます。自分自身は主観的に見てしまう傾向があるからです。
長所短所をまとめることが苦手な場合には転職エージェントに意見を求めましょう。多くの求職者を見ているエージェントには他の人違う「あなたの強み」が見えているはずです。
具体的な回答例:20代後半、病院勤務から大手チェーン薬局への転職希望
「私の長所は、状況に応じて優先順位を判断し、正確性とスピードを両立できる点です。
病院勤務では、入院患者さんや外来患者さんの処方を限られた時間内で対応する必要があり、処方監査や調剤、服薬指導の順序や方法を臨機応変に組み立てる力が身につきました。この判断力は、処方枚数や繁忙の時期など需要が日によって変動する貴社の店舗でも役立つと考えています。
一方で、私の短所は初めての業務に対して慎重になりすぎる傾向があることです。
新しい環境や手順に慣れるまで時間をかけてしまう面がありますが、病院勤務で経験のない業務にも積極的に挑戦し、マニュアルや先輩の助言を早めに取り入れることで、対応スピードを高められるよう意識しています。今後も意識的に改善を続け、早期に戦力化できるよう努めたいと考えています。」
「あなたの長所と短所を教えてください。」に回答するときのポイント
自身の強み、弱みを述べるときには、根拠となるエピソードと一緒に答えましょう。

私は「患者さんに対する接客力、思いやりが強みです。処方箋枚数を増やすには患者さんとの信頼関係が重要だと考えています。患者さんが来局時には処方箋を受け取る前に覚えていた名前を呼び、『あなたの薬局です。』とアピールすることで処方箋枚数を1.5倍に増加させたました。」と回答したことがあります。
短所を述べる際には否定的になりすぎず、「短所克服のために努力していること」を添えると好印象です。
あなた自身を面接官に売り込む「営業」だと思い回答しましょう。

私は業務中に電話などでブロッキングがあると、やっていたことを忘れてしまうことがありました。そのため100円ショップで買った付箋をポケットに入れ、ブロッキングの際にはキーワードだけ付箋に貼って業務していた場所に貼るようにしていました。
面接官の評価ポイント
面接官は長所に真実味があるか、自社の業務で活かせる強みかを評価しています。
単に「コミュニケーション能力があります」ではなく、事実に裏打ちされた強みであれば信憑性が増しますし、人柄も伝わります。
自身の長所、短所に重みがあるかどうか、ストーリーがあるかどうかが評価の分かれ目です。
これから弊社に入社した場合、どのようなキャリアを積んでいきたいですか?
応募者が描く将来のビジョンを確認する質問です。
入社したらそれで終わりではなく、5年後・10年後にどんな薬剤師になりたいか、そのキャリアプランを知ることで自社で長く活躍してくれるかどうか見極めています。
特にキャリア初期~中期の20~30代の薬剤師対しては、面接官は今だけではなく将来の成長性も加味して人材を確保したいのです。
具体的な回答例(30代前半、ドラッグストア勤務からドラッグストアへの転職希望のケース)
「入社後はまず、御社の業務フローや店舗運営の特徴を早期に習得し、調剤とOTC販売の両面で正確かつ迅速に対応できる体制を整えていきたいと考えております。
中期的には、管理薬剤師やリーダー職として店舗運営やスタッフ育成、地域密着型の店舗づくりに携わり、チーム全体の力を高めていきたいです。
将来的には、複数店舗の統括や新規事業の立ち上げ、予防医療やセルフメディケーション推進の企画・運営にも関わり、御社の事業拡大と地域医療の発展の両方に貢献できる人材を目指してまいります。」
「これから弊社に入社した場合、どのようなキャリアを積んでいきたいですか?」に回答するときのポイント
キャリアプランは人それぞれですが、短期的(~1年未満)、中期的(1年~5年)長期的(5年~)それぞれをできるだけ具体的に描写して伝えることが大切です。
その際には資格や数字を絡めて答えると説得力が増します。
面接官の評価ポイント
面接官は応募者に「この人を採用したら将来こんな風に活躍してくれそうだ」とイメージできる人材を求めています。
また、現在においてキャリアプランが具体的で現実的が、達成の道筋は見えているか、自社での役割にマッチしているかも評価のポイントです。
希望する年収や勤務条件はありますか?
給与や勤務時間、勤務地など労働条件面での希望を尋ねる質問です。
企業側としては、提示予定の条件と応募者の希望に大きな隔たりがないかを事前に確認し、ミスマッチを防ぎたいという意図があります。
また、給与など待遇ばかりを重視していないか、価値観の優先順位を探る目的もあります。
具体的な回答例(30代前半、大手調剤チェーンから調剤併設ドラッグストアへの転職希望のケース)
「年収については、これまでの経験やスキルを活かせる業務内容であれば、現職と同水準、もしくはそれに見合う条件でご相談できればと考えております。現職では外来調剤や在宅訪問、スタッフ育成、在庫管理など幅広く経験しており、その経験を御社でも活かしていきたいと考えています。
勤務条件については、患者さまへの安定したサービス提供を第一に考えておりますので、シフトや勤務時間についても柔軟に対応するつもりです。」
「希望する年収や勤務条件はありますか?」に回答するときのポイント
希望年収を聞かれた際は、正直かつ現実的な数字を伝えましょう。
もちろん年収は企業側から見ると固定費となりむやみに高年収を提示できるわけではありません。
また年収以外の条件(勤務時間や休日など)の希望も聞かれたら、差し支えない範囲で伝えましょう。

年収が低くて、休みにくいことが転職する理由だからそれがないか、ここはしっかり聞いた方がいいかしら?
残業の有無や細かな福利厚生を詳しく聞きすぎると「待遇面だけで選んでいるんではないか」とマイナス評価を受けかねません。
重要だけれどもデリケートな労働条件、年収については転職エージェント経由で聞くことが一番良いでしょう。
面接官の評価ポイント
希望年収が企業の想定より極端に高すぎれば、たとえ優秀でも採用を見送られるかもしれません。
面接中ずっと給与や休暇ばかり質問してくるようだとマイナス印象につながるため、希望条件を伝える際も仕事への意欲を損なわない範囲の表現が求められます。
採用コストに対するリターンが得られるかどうかが面接官が重要視しているポイントです。
当社以外で選考を進めている会社はありますか?(志望順位を教えてください)

これすごく悩むのよね。どうすればいいのかしら?
転職活動中であれば複数社受けているのが普通なので、他の会社も受けていると答えて問題ありません。
この質問は応募者の他社応募状況を確認し、内定承諾の可能性の高さを探る意図があります。
具体的な回答例(20代後半、病院勤務から大手ドラッグストアへの転職希望のケース)
「はい、複数の企業様で選考を進めておりますが、志望順位としては現在御社が第一志望です。病院勤務を通じて得た調剤スキルやチーム医療の経験を、調剤とOTC販売の両面で地域の方に貢献できる環境で活かしたいと考えています。
その点、御社は調剤・OTC双方に強みがあり、研修制度やキャリアパスも明確で、自分の成長と地域医療への貢献を同時に実現できると感じています。他社の選考も進めていますが、あくまで比較検討のためであり、最も働きたいのは御社です。」
「当社以外で選考を進めている会社はありますか?(志望順位を教えてください)」に回答するときのポイント
他社状況を答える際の率直さと志望度の高さを正直に伝えましょう。
前述した通り転職活動中であれば複数社受けているのが普通です。
ただし「御社が第一希望です」という姿勢は示した方が良いでしょう。
もちろん面接後に志望が変わることがあっても、それは縁がなかっただけなので気にしなくて構いません。
注意すべき点は「第一志望です」と言ったが、志望動機で話した内容などと矛盾しているということのないようにしましょう。

私も数社選考を進めておりましたが、面接を進める中で他の会社が第一志望ですとは伝えたことはありません。どの会社も良いところがあり、最終的にご縁がある(内定が出揃ったところで再考する)かどうかになるので、面接時点で第◯希望と考えずに全て同率の第一志望と考えることにしていました。
面接官の評価ポイント
他社状況を答える際の率直さと志望度を測っています。
なるべく第一志望の方に入社して欲しいのは面接官として当然の心境です。
できる限り熱意のある、真摯な回答をすると高評価です。
最後に何か質問はありますか?

これにもコツがあるの?
意外と重要な質問です。
面接官は逆質問を通じて、「あなたがどれだけ当社に関心を持っているか」「入社後の具体的なイメージを持っているか」を感じ取ります。
具体的な回答例(20代後半、CRO勤務から大手ドラッグストアへの転職希望のケース)
「御社で調剤とOTC販売の両方に携わる中で、将来的に管理薬剤師やエリアマネジャーを目指す場合、どのようなキャリアステップや研修制度が用意されているかお伺いできますでしょうか。」
「御社の店舗では、薬剤師と登録販売者や他職種のスタッフとの連携はどのように行われていますか。CROでの経験からチームで成果を出すことの重要性を感じており、その点を具体的に知りたいです。」
「最後に何か質問はありますか?」に回答するときのポイント
まず何より質問しましょう。最低でも2~3個は質問をするべきです。
質問がない人は志望度が低い人ととられかねません。
率直に、「即戦力として活躍するにはどのような事前準備が必要ですか?」「現場ではどのようなフローで業務を行っていますか?」などを聞きましょう。
一方で待遇面ばかりに対する質問は、待遇で選んでいるのではないかという疑念を持たせるため避けるべきです。労働条件については転職エージェント経由が一番良いです。
また、ホームページなどで簡単に調べられる内容を聞くことも、準備不足だと思われ志望度に疑念を持たれるため避けましょう。
面接官の評価ポイント
自社に興味を持ってくれているかを面接官は知りたいのです。
より深い質問、働いている場所が感じられる質問を応募者がした場合、自社に対する志望度が高いと感じられ高評価となります。
ここまで代表的な質問を10個あげてきました。
もちろん回答を全て覚える必要はありません。
面接官の質問意図を考え、自分自身のキャリアや考え方の棚卸しを事前に行って、十分に練習していれば、多少言葉が崩れたとしても相応の評価をもらえるでしょう。
まとめ:面接は準備次第で結果が変わる。うまく転職エージェントを活用しよう!
薬剤師の転職面接の流れ、重要な点、代表的な質問と回答例を一通り解説しました。
これらを準備し、繰り返し練習し専門家からフィードバックを得ることで面接での評価は上がり、良い労働条件を引き出せます。
特に専門家である薬剤師専門の転職エージェントは、求職者へのサポートが手厚く、面接対策にも大いに役立ちます。
また、待遇面の交渉や質問しづらいことはエージェントが代わりに確認・交渉してくれるため、面接での労働条件の質問をしなくてすみ評価を上げやすくなります。
おすすめの転職エージェントはこちらをご覧ください。ご紹介している転職エージェントは全て無料のため、あなたにあったエージェントを選んで使ってみてください。

最後に一つだけ。実際の面接では、準備したことをすべて話そうと肩肘張らず、あなたらしさを大切に臨んでください。あなたにはあなたの良いところがあります。あなたらしく挑めればより良い職場出会えると思います。頑張ってください!
ここまで読んでくださった読者の方々ありがとうございます。
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