私は転職すべき?薬剤師が転職するか迷ったときの判断基準5つ【現役薬剤師が解説】
薬剤師として働いていると「このまま今の職場で働き続けるべきか、それとも転職すべきか」と迷う瞬間があると思います。

今の薬局だと全然給料上がらないし転職しようかしら

残業が多すぎてプライベートな時間が取れないんです
しかし転職しても残業時間などの状況は変わらなかったらどうしよう、新しい職場でうまく馴染めるか不安となかなか転職活動に踏み切れないことも多いと思います。

私自身も転職するべきか悩み、転職を考えだしてから1年以上かけて大手チェーンドラッグストアからスタートアップの薬局に転職しました。
そこでこの記事では、転職未経験の薬剤師でも「転職すべきかどうか」を判断する際の基準と評価方法を整理し、自身で転職するべきか判断できる具体的なフレームワークを交えながら解説します。
この記事を読めば「転職するべきか」と答えが出ず悩んでいる状況を打開し、転職するべきか現職に残るべきかスッキリと答えが出せるようになります。
私自身が初めての転職で悩んだ点、その中で自分自身で納得する答えを出せた方法をまとめました。
今現在キャリアで悩んでいる薬剤師の方はぜひ最後までお読みください。
結論:Will-Can-Mustフレームワーク、キャリア・アンカー診断、QOLの自己採点を使って自己診断
まず結論から申し上げると、転職するべきかは
・Will-Can-Mustフレームワーク
・キャリア・アンカー診断
・QOLの自己採点
を用いて自己診断をし、転職するのメリットが現職にとどまるメリットを超える場合には転職を考えると良いです。
転職を考えることは他の人と同じでも、あなた自身の状況(趣味に時間を使いたい、お金を多く稼ぎたい、家庭があるから時間を取りたいなど)は異なります。

そうなのよ。私の状況は私しかしらないから、なかなか転職するべきか参考になるものがなくて、わからないの
それぞれの要素を順を追って分解していけば、あなた自身の答えが見つかります。
ではまず薬剤師が転職を考える理由をみていきましょう。
薬剤師が転職を考える代表的な理由
薬剤師が転職を考える理由で代表的なものは以下となります。
・年収・待遇の伸び悩み
・人間関係や働き方のストレス
・スキルアップ、キャリアアップの機会不足
・将来のライフプランの不安
・自分自身と会社との価値観のずれ
それぞれの理由で転職をするべきかどうか判断する基準を見ていきましょう。
転職すべきか迷ったときの判断基準

年収・待遇の伸び悩みで転職を考える場合

私も今の年収は480万くらいで周りに比べて少ない気がするのよね
収入に対する不満や将来の昇給見込みの不透明さは、転職を考える要因の一つです。
令和6年賃金後続基本統計調査では薬剤師の平均年収は約599万円です。
年齢、職種によって年収は異なりますが、同年代・同職種の給与と比較し、昇給見込みや賞与の金額をチェックし、自身の方が低い場合には転職を考えても良いでしょう。

給料の高い会社は大手でも、忙しい会社でもありません。利益の出ている会社です。利益の出にくい会社にいる限り給料は上がりにくいです。

人間関係や働き方のストレスで転職を考える場合
異動の少ない中小規模の会社では人間関係の問題を解決できないことや、病院ではの夜勤の有無や休日の取りやすさなど、職場環境によるストレスが理由となることもあります。
自身のストレスを定量化するために、ストレスの度合いを自己採点し、長く働くことが難しいようであれば現職を辞めることも検討しましょう。

会社は無数にありますが、あなたは唯一無二です。仕事で無理をするより健康に働けることが重要です。

スキルアップ、キャリアアップの機会不足で転職を考える場合
薬剤師として成長するには、管理薬剤師、病棟業務や在宅医療などの経験が欠かせません。
もちろん成長して、その能力を仕事で活かせば将来的に年収も上がります。
自分が目指す将来像に必要なスキルを棚卸しし、現職でその経験が積めるかを確認、スキルアップの機会が少ないなら転職や資格取得を検討しましょう。

将来のライフプランの不安で転職を考える場合
家計簿やライフプランの計画書を作り、ライフイベントと今後の収入見通しを比較します。
年収ももちろん重要ですが、家庭を持った場合子供がいても働きやすい職場、残業が少ない職場を選ぶことが重要です。
また、場合によっては親の介護の必要に迫られることもあるかもしれません。
現職が出産などのさまざまなライフイベントに適していない場合には、より寄り添った対応をしてくれる会社に早めに転職することも考えるべきです。

将来子供を授かった時に、短時間勤務しやすい職場がいいわね

自分自身と会社との価値観のずれで転職を考える場合
自分の価値観が現職と合っていないと、どれだけ待遇や人間関係が良くても仕事が苦痛に感じることがあります。
本当は患者さんとゆっくり喋って一人ひとりに丁寧に対応したいのに、処方箋枚数をさばくことを第一にしている会社で働くことは苦痛に感じるでしょう。
現在の職場でやりがいを感じているかを考え、やりがいを感じない場合は転職を検討するべきです。
社会には無数に会社が存在します。数字を求める会社、顧客の満足を求める会社、社内の雰囲気を重視する会社など、組織風土に合わない会社に無理にいる必要はありません。

転職するにしても現職と転職先どっちが良いかなんてわからないし、私の状況は他の人と違うかもしれないし
そうですよね。
誰しも現状維持バイアスがあるため、どうしても転職を考えると「今のままがいいのではないか」と思ってしまいます。
そこで、あなた自身で転職するべきかどうかを判断する方法をお伝えします。
その結果現職に残ることが適していれば迷いなく現職に打ち込めますし、転職が適していれば転職活動をはじめられるでしょう。
転職するべきか判断する方法3選
転職するべきかどうかを判断する方法として3つの方法があります。

Will-Can-Mustフレームワーク
Will-Can-Mustフレームワークは「あなたのやりたいこと(Will)」「あなたのできること(Can)」「あなたのやるべきこと(Must)」の3つの要素で自身の考えを整理する方法です。
例えば
「年収700万円の薬剤師になりたい(Will)」
「今まで在宅経験があり、管理薬剤師の経験も5年ある(Can)」
「会社の粗利を上げるために地域体制加算の在宅の項目を一人で達成、管理薬剤師として人員を教育し加算を取得する(Must)」
となります。
Will-Can-MustフレームワークのWillは年収や待遇だけに焦点を当てるのではなく、将来どのような薬剤師になりたいかを考えることにも使えます。
「Will」が現職で達成できないようであれ、「Can」と「Must」を整理し、Will-Can-Mustがマッチする会社を探しましょう。
Will-Can-Mustフレームワークについてはこちらで詳しく解説していますのでご覧ください。

キャリア・アンカー診断#️⃣
キャリアアンカー診断は自分の価値観や働き方の軸を8つのタイプに診断する方法です。
以下の8つのタイプに分けられます。
・専門・職能別コンピタンス
・全般管理コンピタンス
・自律・独立
・保障・安定
・起業家的創造性
・奉仕・社会貢献
・純粋な挑戦
・生活様式

なんで自分のタイプを知ることが転職を決める上で有用なの?
人それぞれ働く上で重視しているものは異なり、色々な企業の条件を見ていく中で自分自身が何を重視していたのかわからなくなることもあります。
たとえ年収面で応募先が優っていても、自分自身の大事にしている働き方とズレていたら働きにくくなります。
いまより良い環境を求めて転職を考えるため、自分自身の価値観とミスマッチしないようにキャリア・アンカー診断は有用です。

QOLの自己採点
QOL(Quality of Life)の観点からも自己採点してみましょう。

薬学部ではお馴染みのQOLですね
以下の5項目を10点満点で採点し、合計点が低い場合は転職を検討します。(30点以上なら現職、20~29点なら転職を検討、20点以下なら転職等)
- 収入:家計を維持し、将来の金銭的な心配がないか
- 働き方:残業や休日出勤の多さ、希望の休みの取りやすさ
- 人間関係:同僚や上司と良い関係を築けるか
- 成長機会:スキルや知識が伸ばせる環境か
- プライベートとの両立:家族やプライベートな時間を確保できるか
QOLを点数で表すことで、現職と応募先を定量的に比較することができ、転職するべきかどうか判断できます。

なんとなく転職をするべきかどうかわかってきたわ!けど、いますぐ転職をしないとしたらなにをすればいいのかしら?
では、結果として転職をするにしろしないにしろ、転職を考えた時にするべき行動についてみていきましょう。
転職をするべきか迷った時にするべき行動

情報収集を行う
転職を考えた時には現職になにかしらの不満点があることがほとんどです。
そのため、より良い条件があったらいつでも動けるように、自分の市場価値や求人状況を知ることが重要です。
情報を得るには薬剤師専門の転職エージェントを使用すると良いでしょう。
薬剤師業界に詳しく、将来のキャリアの相談も行なってくれます。

転職するかどうかわからないのに登録していいの?

大丈夫です。私自身転職エージェントに登録してから実際に転職するまで1年以上期間があきましたが、サポートをしてくれました。
転職したい職種が決まっていない場合には幅広い求人のあるヤクジョブやマイナビ薬剤師、薬局への転職を考えているようであれば運営母体が調剤薬局関連会社のファルマスタッフがおすすめです。

キャリアビジョン、ライフプランを明確にする
5年後・10年後にどんな薬剤師になりたいか、どのような生活をしていたいかを明確にします。
例えば5年後に子供を育てるために短時間勤務をしていたいということであれば、企業に求めることは働きやすさになります。
その上で必要な資格や条件を書き出して現職で得られるものと得られないものを比較しましょう。

資産形成を行う
生活にお金は必要です。
しかし、お金に縛られる生活にするべきではありません。
人生の多くの時間を費やす「仕事」を年収だけで選ばなくてすむように、お金自身を働かせましょう。
資産形成をするにはNISAやiDeCoの制度の知識や金融商品の知識は必須です。
NISAやiDeCoの制度についてはこちらにまとめているためご覧ください。

まとめ:転職はあくまで選択肢の一つ。あなた自身の未来に向けて行動しよう
転職は人生を大きく変えるイベントですが、必ずしも転職をしなければいけないとは限りません。
自分の価値観、ライフスタイルにあった職場で仕事、プライベート共に充実して生活できることが何より重要です。
そのために
・Will-Can-Mustフレームワーク
・キャリア・アンカー診断
・QOLの自己採点
を用いて自身の価値観や求めているものを整理しましょう。
この記事が「転職すべきか?」と迷っている薬剤師の皆さまの判断の手助けとなり、より良いキャリアと生活を築くきっかけになれば幸いです。
ここまで読んでくださった読者の方々ありがとうございます。
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